予想以上に長引く休校 危機感薄い現場が招く教育の途絶

予想以上に長引く休校 危機感薄い現場が招く教育の途絶

新型コロナウイルスの猛威は全世界に及び、恐怖と忍耐に、精神が擦り切れそうになっている。正直なところ、日本ではこれほどまでこの影響が長引くとは、多くの人が予想しなかったのではないだろうか。それが顕著に表れているのが教育現場である。

大学などでは早いうちから、入学式の延期や規模縮小、中止などを決めたところもあったが、小・中・高校については、2月末に行われた政府からの休校要請に応え、1カ月以上の春休みを経れば、4月からは正常化できると考えていたところがほとんどのようだ。そのような発想も、2月末の状態では決して見通しが甘いとは言い切れず、多くの家庭では何とか春休みを越すまでの辛抱と思っていた。しかし、東京は、多くの学校で5月の連休明けまで休校となり、その間の勉強がどうなるかは、明確に決められないところがほとんどである。一体、この間、学校は何を準備してきたのかと思わざるを得ない。

現在、米国の高校で学ぶ息子は、3月半ばに緊急帰国した。学校は3分の1が寮生である。春休み中だった3月13日に国家緊急事態宣言が出され、すぐ翌日には、4月半ばまでのリモート授業が決まった。さらにその翌日には、リモート授業を同30日まで延長し、それまで寮も閉鎖となる旨、通知され、息子も帰国をしたのである。心配だったのは、13時間という時差があること、英語力に不安がある中でリモートだけの授業についていけるのか、個人補習のクラスはどうなるのかという点であったが、すぐ翌日にその回答を得ることもできた。

寮の閉鎖が決まった翌日には、教科書などの勉強に必要な荷物を取りに行くのと同時に、「最悪の事態を想定して」9月まで寮に戻れないときのために、全ての荷物をパッキングするよう指示された。そのときは、5月中には戻れるのではないかと思っていたが、今の状況では「9月まで」ということも、十分あり得ることと感じる。

先生方は、この非常事態の中で、連日大きな決断をし、また「最悪」長期戦になることも想定して、恐らく寝る暇も惜しんで、世界各地にいるどの生徒たちも漏れることなく勉強が継続できる方法を検討していたと思う。米国でも、通信の学校でない限り、これまでリモートを活用した授業形態、宿題の方法などは取り入れていたとしても、全校、全授業での対応、さらに留学生が世界各地に飛び散ってしまった今のような状況も初めてのはずである。

それでもわずか1週間後には、時差を考慮した時間割の変更、個人の補習のプログラム、成績のつけ方などを決め、トライアルまでもっていったのである。3月末から本格的にリモート授業が始まったが、13時間という昼夜が逆転した時差の中も、今のところこちらの生活のリズムが大きく崩れる状況にはなっていないことに、親としても、ただただ感謝しかない。

日本に欠けていることは、この「最悪の事態を想定する」という想像力だ。そして、どんな状況でも、子供たちが教育を受けることを途絶えさせてはいけないし、そのために当事者たる先生たちは、懸命に策を講じる努力をしなくてはならない。教育現場だけでは対応が不可能なことも多い。日本人全体が、もっと危機意識を持たなければ、子供たちの犠牲ばかりが続いていくことを自覚してもらいたい。

フジ・ビジネス・アイ「高論卓説」(2020年4月7日掲載)

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