- 2020-1-25
- 週刊 世界と日本
幼稚園に入園する3歳から大学を卒業するまでカトリックの教育を受けた私にとって、物心ついて最初に自らが覚えた曲は聖歌だった。
乳飲み子のころは、おそらく母の子守歌を聞いていたと思うが、残念ながら記憶にはない。
私にとって、歌といえば聖歌。音楽と言えば、教会音楽。少し特殊な育ち方をしたのかもしれないと、近頃思う。
時を経て、同じようにカトリックの幼稚園から中学まで学んだ息子も、聖歌に慣れ親しんで育った。私と同じカトリック信者であり、学校の聖歌隊としても活動していた息子は、日本語、英語、フランス語、ラテン語で聖歌やクリスマスソングを歌う。
また教会音楽を多数作曲したJSバッハのピアノ曲も演奏し、我が家には常に聖歌とクラッシック音楽があふれている。
一方、私は日本舞踊の師範として、長唄、清本、常磐津、義太夫などの邦楽も体に染みついたジャンルであり、特に三味線の音を聴くと自然に体が〝日本舞踊モード〞になる。
聖歌も邦楽も、幼少から慣れ親しんだものは一生離れないと実感する。日本舞踊の趣味に興じながら、教会で聖歌隊のボランティアをすることが、私の老後の計画。そのためにも元気でいたいと思う。
週刊「世界と日本」2020年1月20日号
出版元「(株)