気になってはいるけれど、実のところよく分かってない……。そんなアレコレについて、専門家の先生にうかがいました! 今回は「社会科」です。
地方議会は、地域の声を幅広く反映し、行政をチェックする組織です
小池百合子東京都知事の誕生で、都政や都議会が注目されています。でも改めて考えてみると、地方の政治や行政って、どんな仕組みだったかしらと気になりますね。
地方は、行政のトップである「首長」(知事や市町村長、東京23区の区長)と、政治を行う「議会」が直接住民によって選ばれる「二元代表制」。
国会議員の中から総理大臣を選ぶ国会の制度と、ここが根本的に違います。
地方では、首長の下に福祉、街づくり、防災や清掃、教育などの各事業を行う部署が置かれ(いわゆる首長部局と呼ばれる)、議会は首長部局が行う事業をチェックするという役割です。
各部署から出される条例案などの議案は、議会を通らなければ成立しません。小池都知事が給与半減を表明しましたが、これも給与を減らす条例案を議会に出して成立させることが必要です。
条例案を作るのは首長部局だけではなく、議員も議員提出条例案として議会に提出し、審議・成立させることはできますが、自分たちの待遇に関わる条例の改正案などを除き、そのような事例は、ほぼありません。
地方議会は、年4回の定例会と必要に応じて臨時会も開催されます。地方議会の年間開催日数の平均は、都道府県議会で95日。市区議会は85日、町村議会は44日です。地方議員は、議会への出席だけが仕事ではなく、地域の課題を積極的に吸い上げ、関係者から話を聞くなど、日々行うことのすべてが議員活動。議会の日数だけで給与を考えることは適切とはいえません。
ただ、年齢、職業など多様なバックグラウンドを持つ人が議員になることが望ましいのですが、家業と化している議員も多く、地域の声を幅広く反映するという点では課題が多いのも事実です。小池都知事の誕生により地方議会にスポットが当たる中、その役割に改めて注目する必要があるでしょう。