「こども保険」ができたら、「教育の無償化」が実現するの?

気になってはいるけれど、実のところよく分かってない……。そんなアレコレを、専門家の先生に教えてもらいましょう! 今回は「社会科」。政治ジャーナリストの細川珠生さんにうかがいます。

教育無償化の財源の一部として検討されている「こども保険」について

「こども保険」といっても民間の保険会社の商品ではありません。

今回、私が取り上げるのは、国で検討が始まった「保険」。年金保険、医療保険などと同じように、保険料を国に払い、必要なところに支給されるという考え方です。

「こども保険」は子どもに関わること、具体的には教育費にあてようというものです。

子育て世代の経済的な負担を軽くするため、給付型奨学金や無利子奨学金などが実施されることになりましたが、「教育の無償化」を目指す動きも出てきました。

幼児から大学などの高等教育すべてを無償化するには、5兆円、つまり現在の国の教育費の2倍が必要だといわれています。無料化の範囲を少し広げるだけでも財源が足りません。

年金や医療などで払っている保険料に、当面は0・1%上乗せして払うなどの案については、「増税と同じだ」「子育て世代でない世帯には関係ない」という反対論も。

年金であれば歳を取れば必ず、医療も必ず誰もがかかるというのとは違い、全ての人が子育てしているわけではないという理由からです。

実は、介護保険制度ができる時も、「誰もが必ず介護が必要になるとは限らない」という反対意見がありました。このような社会保険のしくみは社会全体で支え合うという考え方が必要です。

また、教育に特化した目的で国が発行する債券「教育国債」で財源をつくろうという意見もあります。

ただし、大事なことは、今の予算に無駄はないのか、もっと効率的に使う方法はないのかという見直しを絶えずしているかどうかということ。予算の適正化を図ることにより、保険料や国債などではなくても財源を確保できるという意見もあります。保険料システムは現役世代が増えていく、人口増の社会が前提です。

経済的負担の軽減はありがたいけれど、場当たり的な議論とならないようにしてほしいと思っています。

(Hanakoママ 52号より)

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政治ジャーナリスト細川珠生

 

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