野党第一党・民進党の新しい代表に蓮舫氏が選ばれました。岡田克也前代表の任期満了による代表選でしたが、参院選や東京都知事選での結果を受け、岡田代表は続投しないことを表明。26日から始まる臨時国会に備え、新代表や執行部人事を整えるというのが、今回の代表選の意味でした。
女性の活躍推進が目に見える形になった
容赦ない”口”撃が特徴で、強い女のイメージの蓮舫氏ですが、48歳、双子(一男一女)の母というところに、親近感をもつ人もいるでしょう。小池百合子東京都知事の誕生で、日本の首都・東京のトップも女性になり、野党第一党の代表も女性となれば、それだけでも「女性の時代」到来を予感させます。皮肉にも、野党が対峙する安倍政権が掲げてきた「女性の活躍推進」によって、女性がトップに就くことを後押しする世論が作られていたということも、一つの要因であると解釈できるでしょう。
蓮舫氏の登場で何が変わる?
野党第一党といっても、所属国会議員数は衆参合わせて147人。自民党の413人と比べると3分の1強の勢力しかなく、野党4党(民進、社民、共産、生活)が結集しても190人と、半分にも満たないことから、政権交代への道のりは現状ではかなり厳しいものだと言わざるを得ません。
そんなこともあり、野党共闘という選挙戦略の見直しもさることながら、そもそも野党第一党として、党の考え方、自民党政権と何が違うのか、どんな政策を出していこうとしているのか、根本からの練り直しが迫られています。その中で誕生した、蓮舫氏。初の女性という点からも、これまでの、男性中心の政治の世界で見落とされていた視点を存分に生かして、検討に値するような選択肢の一つを、有権者に提示していくことが、民進党に求められている重要な課題です。
政権交代が可能な野党が存在することは、政治の質を上げる上でも非常に重要です。その意味からも、民進党が政権を担える政党になることは、国民にとっても有益であると思いますが、その民進党の代表に選ばれた蓮舫氏は、二重国籍問題では大きな失点を作りました。
日本は、国籍法第16条で、二重国籍を禁じています。日本国籍を選択した場合、他国の国籍放棄は「努力義務」とされており、罰則規定もありませんが、法律上は違法です。特に、立法府、つまり法律を作る立場の国会議員が、二重国籍を「違法ではない」と言い切ることは、政治家として非常に問題。法律をどう考えているのか、大いに疑問です。この点については、26日から始まる臨時国会で、与党から追及も厳しくなるでしょう。
蓮舫氏が初の女性総理大臣になるのは難しい?
今後、二重国籍問題によって、蓮舫氏には「いばらの道」が待ち構えていると思いますが、一方、初の女性総理大臣候補としても、以前から期待が大きかった人物です。しかし、参議院議員である蓮舫氏には、その期待は夢のまま終わる可能性の方が大きいのです。日本は、有権者によって選ばれた国会議員の中から、総理大臣を選び、その総理大臣が各大臣を任命し、国会と内閣が一体となって国民に対して責任を負うという議院内閣制をとっています。総理大臣は、衆参両院で、それぞれ「首班指名選挙」を行い、過半数を得た人が選ばれることになっています。
もし、衆参が別々の首班を選んだ場合は、憲法の規定により、衆議院での議決が優先されることになります。首班指名だけでなく、予算案の議決や条約の批准などについても、衆議院の議決が優先され(「衆議院の優越性」)、また、総理大臣の専権事項である解散権が行使できるのは衆議院だけであることからも、これまでの総理大臣は、全て衆議院議員でした。
参議院議員ではいけないという明確な規定はないものの、これらの衆参の意義の違いを考えれば、蓮舫氏が参議院議員のまま、野党第一党のトップとして政権交代を目指すのは、やや非現実的と言われても仕方ないかもしれません。まずは、衆議院議員として党代表になること、蓮舫氏個人の最優先の課題はそこにあるとも言えます。
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