インターネットを介した学習で、ネックになっていたのは大きく分けて2つあります。
長引く新型コロナウィルスの感染拡大で、休校も長期化。子供たちの勉強の遅れが、とても心配ですね。それをカバーするのが、いわゆる「オンライン授業」「リモート授業」と呼ばれる遠隔での授業ですが、これら「教育のICT化」がほとんど普及していなかったことに、驚いた人が多かったことでしょう。4月半ばの文科省の調査によれば、公立の小学校・中学校・高校で「同時双方向型のオンライン指導」を実施すると回答した学校は、全国で5%(複数回答)。休校が解除されても、これまで通りの学校生活に戻るのには時間がかかると思われます。そこで、4月末に成立した今年度の補正予算で、教育のICT化に関する大幅な予算が確保され、一気に進めていこうということになりました。
まずは機器の普及。「一人一台端末」を目指し、今後3年間で、小学校5年生から中学1年生までのすべての児童・生徒に配布(貸与)する予定だったものを、今年度中に、小学校1年生から中学3年生まで、義務教育期間中の子供たちすべてに配布することになりました。合わせて、WiFiなどの通信環境がない家庭に、自治体から学校を経由してルーターなどを貸与することになりました(いずれも所得条件あり)。
インターネットを介した学習で、ネックになっていたのは大きく分けて2つあります。一つは、教材の著作権の問題です。教育上の範囲内においては、様々な作品の著作権について、無償で使用できることになっていましたが、インターネット上となると、「公衆送信」として、個別に著作権使用の許可を得なければならなかったのです。実はこれは、すでに著作権法が改正され、一定の条件の下(「授業目的公衆送信補償金等管理協会」へまとめて支払うなど)で使用できるようになっていましたが、まだ法律は施行されていませんでした。しかし、急ぎ4月末に法律が施行され、また同協会も今年度に限っては無償で利用可能とし、教材問題は大方クリアされたのです。
もう一つは、教師の教え方です。オンライン授業は、これまでの全員同じ場所での一斉の授業とは全く違う指導法が求められます。一般的な会議システムを利用して授業を行えば、全員の顔を確認することはメリットでもあります。児童・生徒の方からすれば、居眠りやほかのことをするということはなくなり、授業をきちんと受けるという態勢ができることはよいことですね。一方、教室の「空気」のようなものは感じられないことから、「集団」生活から学びを得るということは少し難しくなります。その中で、オンラインで学習する上では様々な工夫が必要です。ひとまずは、IT関連の民間事業者に協力を得るときの費用の補助は国が手当てしてくれるようですので、先生方も思い切ってオンライン授業を部分的にでも取り入れられるよう、頑張ってほしいと思っています。
いずれにしても、この機会に、遅れていた「教育のICT化」を一気に進め、国際標準に追いついてくよう、社会全体で後押ししてほしいものです。