気になってはいるけれど、実のところよく分かってない……。そんなアレコレについて、専門家の先生にうかがいました! 今回は「社会科」です。
議論はまだ始まったばかり。今後の動向に注目です。
『5歳児の義務教育化』、どこかで耳にしたことはありますか?
5歳児というのは、保育園・幼稚園の年長児を指しますが、「小学校が一年前倒しされるの?」「保育園や幼稚園で勉強することになるの?」と、色々疑問がわきますね。
これは、2014年から国で本格的に議論が始まりましたが、その背景には、いくつかの理由があります。一つは、「義務教育化=無償化」とすることで、幼児を抱える家庭を経済的に支援し、ひいては少子化対策にもつなげようというもの。保育園も幼稚園も、親の所得に応じて保育料が決められていたり、補助が出るようになっていますが、子供が二人、三人ともなると、負担感が大きいのも事実です。若い夫婦が安心して子供を産み育てるための、一つの手立てにしようというものです。
また、「小一プロブレム」が、学校現場でかなり深刻化してきたことも、背景にあります。その解決策の一つとして、小学校入学までに、生活面での準備を行おうというものです。こちらも保育園・幼稚園の区別なく、共通で行われる活動。小学校生活を視野に入れたもの、例えば、体操の時間を設けたり、鍵盤ハーモニカのような簡単な楽器を演奏することで、「座っていられる」「学ぶ姿勢」というものを身に付けようというものです。保育園・幼稚園と小学校の接続をスムーズにすることは、色々な意味で重要だからです。
「義務教育化」ということなので、保育園・幼稚園の、全ての5歳児を対象として検討されていますが、今年度は経済的な支援としての「無償化」という側面が強く、世帯年収270万円以下の5歳児の保育料を無償化したことにとどまっています。経済支援ももちろん重要ですが、幼児期にはどのように過ごすのがよいのかという本来の教育の質や充実について、引き続き検討が行われているので、ちょうど適齢の子供を抱える読者のみなさんは、ぜひ動向をチェックしてみてください!
(Hanakoママ 34号より)