オバマ大統領の広島訪問と大統領選が家庭に及ぼす影響【第4回 細川珠生の「ママは政治1年生」】

オバマ大統領の広島訪問が持つ意味

伊勢志摩サミットが始まり、世界をリードする7カ国の首脳が8年ぶりに日本に集まるということで賑わっていますね。オバマ大統領がアメリカの大統領として初めて、第二次世界大戦で原爆を投下した広島を訪問することも、今回のサミットに続く重要な行事として話題となっています。

戦後70年経っても原爆による心身の傷がいえない日本と、今でも原爆投下を正当化する声が根強いアメリカの国内世論とでは温度差がありましたが、それでもオバマ大統領が、同盟国である日本を大事にしていることの一つの表れとして、この広島訪問は日本としても歓迎すべきことです。

しかし、そんなオバマ大統領の任期も今年いっぱい。アメリカでは次期大統領を決めるべく選挙が11月におこなれわれるため、今年初めから各政党が大盛り上がりです。

大統領が変わると日本にどんな影響が起こるのか

アメリカでは、共和党と民主党という二大政党のどちらかの候補者が大統領に選ばれることになるため、共和党では、実業家・不動産王と呼ばれるトランプ氏が、民主党ではクリントン元大統領の夫人でもあり、上院議員や国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏ががぜん注目されています。

中でも、ニューヨークのマンハッタンに金ピカのビルを構えるトランプ氏は大胆な発言で日本でも連日のように話題になりますね。不法労働者問題などで苦しむアメリカの国内事情からメキシコとの国境に壁を作るとか、テロへの対策としてイスラム教徒は入国させないなど、本当に大胆です。

日本に対しても、日本にある米軍基地の費用は全部日本が負担せよと発言し、他人事ではなくなってきました。トランプ氏の意図は、何より「強いアメリカ」。これまでの政策や関係にとらわれずに、徹底してアメリカの国益だけを考えていくというものに聞こえてしまいます。

大国・アメリカがどういう方向へ進んでいくのかとういことは、世界が注目していますが、米軍基地問題を抱える同盟国の日本は特に、次期大統領の候補になるかもしれない人の発言はが大きく影響してきます。

改めて考える日米同盟の意味

日米同盟は、「日米安全保障条約」というものによって結ばれていますが、その目的は、アメリカのアジア・太平洋地域における軍事的な拠点と、制限のある日本の軍事力を補完する役割として、米軍とともに日本の国を守るというものです。

日米、両方にとって大事な関係ということになりますが、トランプ氏の頭の中には、「アメリカが日本を守ってあげている」という認識が強いのでしょう。アメリカの一般国民の中にもそうだと思っている人も決して少なくありません。

逆に日本では、日本を守ってもらっているという認識よりも、「駐留させてあげている」と思っている人が多いように思います。日米の国民がもう少し理解し合うことが必要ですね。

幼児教育無償化8000億円に苦労する日本は今後どうなる?

トランプ氏の発言は、問題提起として意味のあるものともいえます。しかし、トランプ氏は公的な立場になったことが一度もないことから、政治手腕も行政手腕も未知数。

経営者感覚は大事ですが、それだけでアメリカの大統領は務まりません。特に多民族国家であり、日本よりはるかに格差の大きいアメリカでは、万人に利する政策などあるはずがありません。その上、大国・アメリカの政策は、世界中に影響を与えます。例えば、以前オバマ大統領が「アメリカは世界の警察ではない」と発言したことから、世界の軍事バランスが崩れ、中国の南沙諸島海域における軍事拠点の不法建設や、イスラム国などによるテロの頻発などが引きおこされたと言われています。

もし、トランプ氏が求めるように、日本にある米軍基地の費用の全額日本負担を拒否したら、どうなるでしょうか。沖縄での強い反基地運動なども相まって、もし米軍が日本からいなくなれば、それまでアメリカに頼っていたことを、日本がすべて自分たちの手でやっていかなければなりません。

今、日本は防衛費約5兆円ですが、そんな額では済まなくなるのです。20兆、30兆円が必要だという人もいます。幼児教育の無償化のための8000億円の財源を出すことにも四苦八苦している日本で、財政的な面から見ても、非現実的な政策だと言わざるを得ません。

そんなことを考えると、アメリカの大統領選は、日本にもとっても影響のあることだということがわかりますね。サミットで訪れている国々も、みな世界に影響のある国です。この機会に、世界の国々がどんな考えを持っているのか、興味を持ってみるのもよいでしょう。

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政治ジャーナリスト細川珠生

 

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