【回顧2020】進化が見られなかった政治の世界 コロナ禍でも国会の対面仕事は転換進まず、連日連夜の会合や会食

2020年、私たちは新型コロナウイルスの感染拡大で、想像もしなかった世界に直面し、苦悩の多かった1年であったと思う。一方、この困難を乗り越えるにあたって、改めて、物事の本質を考えることが増えたのではないだろうか。

長年の課題だった、在宅ワークに代表させる「働き方改革」や、オンライン教育などは、試行錯誤しながらも一気に進んだ。オフィスとは? 仕事とは? 教育とは何か? を改めて考える機会になったはずである。

ステイホーム期間中は、家族が一緒にいる時間が増え、家族の尊さを実感しながらも、それゆえの負担に苦しむ人も少なからずいたであろう。オンライン講座や無観客コンサートなど、新しい取り組みに挑戦することも求められた。その加速度の高さゆえに、戸惑いやひずみも生じ、適応することの難しさにも多くの人々が直面した。

もはや、コロナ以前の社会や価値観に完全に戻ることはない。それがある種の「進化」だと、覚悟を決めて歩んでいる人が多くいると実感する。

そうした中で、今年1年、ほとんど「進化」が見られなかったのが、政治の世界である。

国民にリモートワークを要請しながら、国会は対面での仕事を転換する勢いは鈍い。会食自粛や、不要不急の外出を避けることを国民に求めながら、連日連夜、あるいは昼夜欠かさず会合や会食に勤しむ政治家は、国民に対して説得力のかけらもないであろう。

自民党本部玄関に非接触のサーモ体温計が設置されたのは11月になってからだし、小さなエレベーターは満員の時が多い。密を避ける行動が万全とは、とても言い難い状況が続いている。

緊急事態宣言発出に伴う国と地方の役割分担や、陽性者は隔離をしなければならない感染症法上の位置付けなど、第1波の収束後、落ち着いた状況の中で見直すべきことが、なされていなかった。政治の本質的な役割の放棄として重要な問題である。

「第1波」の課題を放置したことが、「第3波」の到来を許したという見方もある。医療の逼迫(ひっぱく)状態も、これまでで最高となっている。専門家や国民の多くが観光支援事業「GoToトラベル」の一時停止を求めても、決断するまでにはあまりに時間がかかりすぎた。

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政治ジャーナリスト細川珠生

 

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