両陛下が築かれた平成の皇室 国民の象徴、代々引き継がれることを願う

両陛下が築かれた平成の皇室 国民の象徴、代々引き継がれることを願う

今上天皇がご譲位されるのに伴い、美智子皇后陛下も皇后としてのお役目を終えられる。象徴天皇を頂く日本国の一員としてももちろんであるが、僭越(せんえつ)ながら、同窓生の一員としてはそれ以上に、言葉では言い表すことができないほどの感謝と敬慕の念でいっぱいである。

「将来の皇后陛下」であられる「皇太子妃・美智子さま」を、誇るべきご卒業生として意識したのは、恐らく母校の初等科に入学した当初からであったように思う。後輩である私たちの中には、常に、「美智子さま」のお姿があった。日本国民の心の支柱でもある皇室の、その中心に、いつも先輩のお姿があった。とりわけ、私の世代は、間もなく、天皇陛下に即位される皇太子殿下を始め、3人のお子さま方が同年代ということもあり、このようなことを言っては失礼かもしれないが、皇太子妃・美智子さまから美智子皇后陛下として歩まれた日々の全てが、自分自身の人生、あるいは家族や家庭と重なる。

特に、成人式を迎えた年に平成の代が始まったことを考えると、皇后陛下としてお務めをなさるお姿は、母校で「それぞれの役割をしっかり生きること」を教えこまれた私にとっては、常に目標でもあった。間もなく、そのお役目に一区切りをつけられようとしている。いつも、私たちの前に、ご自身のお役割に懸命に生きられるお姿をお見せになっていたことに、尊敬の念がやまない。

新天皇陛下のご即位により、新しい時代が始まる。それぞれの時代に、それぞれの役割が皇室にあるとすれば、私たち国民が、これからの皇室の役割と繁栄をどのように考え、支えていくかは非常に重要である。

今上天皇陛下は、即位されたときから「象徴天皇」であられた。3年前の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の中で、天皇のお務めに関し、「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えてきました」と述べられた。国民に寄り添うことを第一とされてきたご様子がうかがえる。

恐らく、新しい天皇陛下も、その点は踏襲されるであろう。しかし、そのためには皇室の安定的、発展的継承が非常に重要である。新しい御代を迎える晴れやかな中にあるからこそ、そのことに思いを致さなくてはならないのではないだろうか。

関東学院大学国際文化学部の君塚直隆教授によると、王室を持つヨーロッパ諸国では、1979年にスウェーデンが初めて第一子の皇位継承を採用したのを筆頭に、オランダ、ノルウェー、ベルギー、デンマーク、ルクセンブルク、そしてイギリスでも「絶対的長子相続制」が採用されているという。

さらに、女性皇族も、結婚後も一代に限って皇族にとどまって公務を担っていくことが、ヨーロッパの王室では一般的であるという。決して、ヨーロッパの王室に倣うべきというのではない。皇室という、国の根幹の制度をどう考えるかは、それぞれの国で国民が考えるべきことである。日本にとって、皇室の安定と繁栄をどのように実現させていくかは、私たちにしか、その結論を出すことはできない。

国民の象徴としての天皇制の中で、皇室は、やはり一般国民からは、少し距離のある存在でもあろう。しかし、私個人としては、同じ学び舎で過ごしたという貴重な経験から、時々、身近に感じられることもあった。だからこそ、美智子皇后陛下が天皇陛下とともに築かれてきた皇室が国民の象徴として代々に引き継がれていくことを切に願う。

 

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